近年では看護師のスキルアップの選択の一つに、専門看護師や認定看護師といった制度が作られました。認定看護師制度は、ある特定の看護分野で熟練した技術と知識を持った看護師を社会に排出するべく制定された制度です。
長年培ってきた看護師としての知識や技術、経験を客観的に評価して認定することにより、より高度な看護の実践や看護ケアの質の向上を目的としています。
最初は救急看護分野と皮膚・排泄ケア分野だけでしたが、現在は21もの分野があります。緩和ケア・訪問看護・感染管理・糖尿病看護・新生児集中ケア・透析看護・小児救急看護・認知症看護などです。
これらの分野は今後も必要に応じて審査し、審査に通れば新たな認定分野として採用されます。分野の特定は認定看護師制度委員会への申請を経て、委員会が適正な審議を行い、理事会による決議を経て特定分野として承認されます。
条件としては、看護実践経験の積み重ねのみでは習得が困難な特定の知識や技術が必要な看護分野であること。他の分野と重なりがある場合であったとしても、その看護分野独自の知識や経験が必要とされる看護分野であること。何らかの法的な支援や経済的支援がある、あるいは将来的にそうした支援が期待される分野であることです。
申請は各年の3月末までに申請書類を提出します。申請された分野はその年の5月から審査を行い、審議結果を申請者に文書で通知します。
委員会が認定分野として認めると、今度は理事会の決議を経て特定分野として認定され、その後審査結果が申請者に通知され、その分野が認定されたことが公表されます。
これによって正式な特定分野として認定され、教育基準のカリキュラムの作成や教育機関の認定、看護師による認定審査の受付など、実際の認定分野としての機能を持つようになるのです。
看護師が各分野の認定看護師になるためにもそれなりの規定があります。実際に認定されると、現場でその知識と技術を発揮して看護を行う看護師としてはもちろん、他の看護師に対する指導や相談係としての役割も期待されています。一般の看護師の上級職的な立場になるわけです。
また、看護師だけでなく実際に看護を受けている患者さんやそのご家族に対する支援も行うことになります。